避難情報が出しにくくなった!?熱海市土石流災害に学ぶ

浸水の前からできる

2021年7月におきた熱海市の土石流災害では大きな被害がでました。

自治体から避難指示が出されなかったことに原因があるといわれていますが、2021年5月から避難情報が新しくなったことにも原因がありそうです。

この記事では、新しくなった避難情報、そしてわたしたちがどのような行動をとればいいかについてまとめてみました。

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新しい避難情報では避難情報が出しにくくなった!?

2021年5月から避難勧告はなくなり、避難指示が出たらかならず避難することになりました。

このことが逆に自治体にとって避難指示を出しにくくなったといとわれています。

住民全体に避難をうながすこと自体のハードルが高くなってしまったのです。

気象庁からの情報が熱海市に届かなかった?

気象庁から熱海市に対してほぼ1日前には気象情報がつたえられていました。

その後も繰り返し電話連絡が行われたものの、警戒レベル5の緊急安全確保が市から出されたのは土石流が発生した後のことでした。

このニュースを見たときには、「熱海市に危機感が足りなかった」という印象を受けましたが、いろいろ調べてみるとどうやら問題は熱海市だけにあるわけではない気がするのです。

避難指示で必ず避難!新しい避難情報

避難情報はこれまでと同じく、自治体から出されます。ここで新しい避難情報についてあらためてまとめてみました。

警戒レベル新たな避難情報等
5緊急安全確保
4避難指示
3高齢者等避難
2大雨・洪水・高潮注意報
1早期注意情報

ここで注意が必要なのが、避難指示が出るまでにかならず避難しなければいけないということです。避難指示は警戒レベル4ですが、警戒レベル3以下であっても避難をはじめてよいのです。

避難所に行くだけが避難じゃない?

避難とはそもそもなにをすればいいのでしょうか?避難所に行くことだけが避難なのでしょうか?

避難にはつぎの4つの行動が含まれます。

  • 避難所(小学校や公民館)への避難
  • 親戚・知人宅への避難
  • ホテル・旅館などへの避難
  • 屋内安全確保

屋内安全確保とは自宅で安全を確保することです。どこかにいくことだけが避難ではないのです。

また、避難所以外に避難するケースもあります。避難する前に、ハザードマップで安全かどうか確認しておきましょう。

自宅で避難?屋内安全確保の注意点

「自宅にいていいなら何もしなくていいの?」

そういうわけではありません。屋内安全確保をする場合はつぎの条件が必要です。

  1. 家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていない
  2. 浸水する深さよりも高いところにある
  3. 水や食料が十分にある

家屋倒壊等氾濫想定区域はハザードマップに記載がない場合があるので、詳しくは市町村に問い合わせましょう。

土砂災害の危険がある区域では屋内安全確保できない!

土砂災害の危険がある区域では、自宅以外の場所へ移る、立ち退き避難が原則です。熱海市で災害が起こった地域でも、避難指示が出されたら自宅を出るのが原則なのです。もちろん、ケースバイケースかもしれませんが、土砂災害危険区域の場合、自宅にいること自体が危険といえます。

どんな場合であっても「自宅ならいいんでしょ?」というわけではないので、自宅が土砂災害の危険があるかどうか確認しておきましょう。

警報ってなかったっけ?

警戒レベル2に大雨・洪水・高潮注意報とありますが、

「そういえば警報ってなかったっけ?」

と思いませんでしたか?

注意報や警報は気象庁から出される防災気象情報と呼ばれるものです。

自治体から出される避難情報とは別に、防災気象情報にもそれぞれ警戒レベルが設定されています。まとめるとつぎのとおりです。

警戒レベル避難情報防災気象情報
5緊急安全確保大雨特別警報
氾濫発生情報
4避難指示土砂災害警戒情報
氾濫危険情報
高潮特別警報
高潮警報
3高齢者等避難大雨警報(土砂災害)
洪水警報
氾濫警戒情報
高潮注意報(警報に切り替える可能性が高い旨に言及されているもの)
2
氾濫注意情報
2
大雨注意報
洪水注意報
高潮注意報(警報に切り替える可能性に言及されていないもの)
1
早期注意情報(警報級の可能性)
注:大雨に関して、[高]又は[中]が予想されている場合

熱海市のことを考えると、自治体からの避難情報よりも、気象庁の情報を正しくとらえることのほうが大事なように思えます。

結論。防災気象情報が複雑なのでは?

自治体が出す避難情報は一本化されたものの、避難指示を出すハードルが高くなってしまったことが熱海市の災害によってくしくも露呈してしまいました。

しかし、問題は気象庁の防災気象情報と自治体の避難情報の連携がとれていないことだとわたしは考えます。

レベル4以上の防災気象情報が出されると自動的に避難指示が出されるようなシステムが必要です。また、防災気象情報自体も種類が多すぎてわかりにくいですよね。

天気予報をみれば避難が必要かどうかがすぐにわかることが住民にとって必要なのではないでしょうか。

参考:

新たな避難情報に関するポスター・チラシ(内閣府)

防災気象情報と警戒レベルとの対応について(気象庁)

危機感、熱海市に届かず 気象台から電話連絡3回(日本経済新聞)

土石流発生前に熱海市が「避難指示」を出していなかった理由 「避難勧告」なくなり判断難しく(東京新聞)

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プロフィール
このサイトの管理人
きたはち

2019年東日本豪雨のとき災害ボランティアセンターで働いていました。
社会福祉協議会の勤務は4年半。浸水した住宅へ訪問することから運営資金の確保まで行っていました。浸水した住宅に行ってボランティアをしたこともあります。当時の経験をもとに今後起きるであろう災害のためにできることがないかと思いこのサイトを立ち上げました。

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