こんにちは。きたはちです。
2019年東日本豪雨のときは災害ボランティアセンターで働いていました。
災害ボランティアを頼むとき、何ができるのかを知らない人が多かったです。
何を隠そう、どんな依頼が来るのかさえ分からなかったので、災害ボランティアセンターでも判断に迷うケースがありました。
この記事では、実際に災害ボランティアセンターを運営していた経験から、災害ボランティアができることとできないこと、そして判断が分かれることをまとめました。
災害ボランティアを頼む人にも、災害ボランティアをしようと思っている人にも、災害ボランティアセンターを設置している社会福祉協議会の職員の人にも役立つ情報だと思います。
参考にしてみてくださいね。
災害ボランティアができること

災害ボランティアに依頼できることは、基本的には次の2つの条件を満たしたことです。
人の手でできること
危険を伴わないこと
ボランティアさんは善意でいらっしゃった方々です。
そして、専門的な知識を持っていない方がほとんどです。
中には学生さんもいます。
専門的な作業を希望する際は、個別に災害ボランティアセンターに相談してください。
片付け・家財道具の運び出し

あなたの家にボランティアさんを入れるのは抵抗があるかもしれません。
しかし、一人でできることにも限界があります。
もしものことがあれば災害ボランティアセンターが責任を負いますので安心して依頼してください。
無理せずに、頼めることは頼みましょう。
見える部分の泥出し

住宅の中でも外でも、泥が表に露出していればボランティアが泥出しすることができます。
床板がはがれた状態であれば床下の泥出しも依頼できます。
畳をはがして持ち運ぶこと

畳はバールがあれば簡単にはがれるので、畳の持ち運びはボランティアに任せることができます。
畳は水を吸うと非常に重くなるので、何人かで協力して持ち上げましょう。
できるけど優先度が低いこと
企業、事業所からの依頼
飲食店や商店などに入った泥を出すことなどはボランティアさんに依頼できます。
ただし、一般住宅に比べれば優先度は低くなってしまいます。
私の働いていた災害ボランティアセンターでは企業や事業所からの依頼はほとんど受けられませんでした。
商店が住居を兼ねている場合の居住部分なら住宅と同じく優先されます。
空き家での作業
空き家での作業もボランティアに依頼できないわけではありません。
ただし、企業や事業所の場合と同じく、生活の場ではないので優先度は低くなります。
浸水したアパートの空室部分の作業を、持ち主が依頼する場合も同様です。
災害ボランティアができないこと

危険を伴うこと

危険を伴うことはボランティアさんに任せることはできません。
具体的には、不安定な場所、土砂崩れの恐れがある場所での作業などです。
ボランティアさんはケガをした時のためにボランティア保険に加入しています。
しかし、善意で来た人たちにケガをさせるわけにはいきませんよね?
ちなみに、雨の場合は災害ボランティアセンター自体が休みになる場合が多いです。
「プレハブ倉庫を10人程度で持ち上げてほしい」
という依頼もありましたが、プレハブ倉庫は本来クレーンで持ち上げるもので、人力でやると事故が起こる可能性があるのでお断りしました。
営利を目的とすること

ボランティアは飲食店や商店の泥出しはできますが、商品の陳列など、営利につながるような活動はできません。
これは、ボランティアさんが加入するボランティア保険の補償外の活動だからです。
判断が分かれる作業

判断が分かれる作業については、地域の災害ボランティアセンターによって依頼できたり、できなかったりします。
地域によってできることに差が出てしまうのは、被害の規模に対して作業ができる人の数に限りがある場合があるからです。
時間の経過によって対応が可能になる場合もあるので、そのとき対応していない場合でも要望だけは伝えておいたほうがよいでしょう。
専門性を伴うこと
専門的な知識、技術が必要なものは、そういったボランティアさんがいない限り、案内することができません。
災害ボランティアセンターと専門的な知識を持つボランティアさんやボランティアグループが連携することができれば案内できますが、最終的には災害ボランティアセンターの判断によるところになります。
次のような場合です。
床下に潜ること
床板をはがすこと・床板を切ること
重機を使うこと
床下に潜ること

床下に湿った泥があれば、床下に潜って泥を取り除く作業が必要になります。
湿った泥をそのままにしてしまうとニオイが発生したり、壁にカビが生えてしまったりして、健康にも影響を及ぼしてしまいます。
一つの案件につき、床下に潜る作業の経験、知識が豊富なリーダーが一人いれば、経験のない人に教えながら作業ができます。
しかし、断熱材にグラスウールを使っている古い住宅の場合は危険が伴うのでできない場合があります。
何を危険とするかも災害ボランティアセンターの判断によって分かれることがあります。
床板をはがすこと・床板を切ること
床板をはがすことは、建材を痛めてしまう可能性があるので専門的な知識、技術が必要になります。
床板を切ることも同様です。
床板をはがすことは、バールがあればできるので家主さんの責任で行ってください。
フローリングであれば、場合によっては床板を切ることが必要になりますが、生活スペースの確保や、今後の作業の見通しなどをよく考えてから行ってください。
重機を使うこと

重機を使うことは、操縦免許と重機そのものが必要になるので、そのようなボランティアさんがいないと依頼することはできません。
ゴミ処理場に災害ごみを持っていくこと

ゴミ処理場に災害ごみを持っていくことはトラックが必要になりますし、浸水のあとはゴミ処理場が混雑して渋滞が起こり、ボランティアさんが長い時間拘束されてしまう可能性があるので、依頼できない場合があります。
私の働いていた災害ボランティアセンターではゴミ処理場に持っていくことはお断りしていました。
災害ごみを一時的に集める場所(公園など)が歩いていける距離があれば依頼を受けていました。
畑(農地)

農地に関しては自治体の農政課などで対応する場合があります。
農地の指定を受けていなくても、広大な畑の泥は人力で取り除くことは難しいです。
その場合は重機が必要になってしまいますので専門性が必要になります。
まとめ
もし、あなたが浸水被害にあってしまったら、無料でできるボランティアになら何でも頼みたいですよね。
しかし、お客さんではないということは理解しておいてください。
災害ボランティアの皆さんは善意で来てくれている人たちです。
学生のボランティアでもできるのは、安全で簡単な作業です。
ボランティアをしたい立場の人にとっても、「簡単な作業だったら」ということで気がねなく行けますよね。
災害ボランティアセンターが何ができるのかをあらかじめ理解しておくことも浸水対策になります。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。
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