こんにちは、きたはちです。
2019年の東日本豪雨のとき、災害ボランティアセンターで働いていました。
東日本豪雨のときよりも、令和2年7月豪雨が激甚災害に指定されるまでのほうが遅いと感じました。東日本豪雨の当時、行政と深い関わりがあった社会福祉協議会にいたときは、激甚災害に指定されることの重要さを感じました。
激甚災害の指定は浸水対策、復旧・復興が早まる大きな一歩になります。
激甚災害とは?
激甚災害とは、
国民経済に著しい影響を及ぼし、かつ、当該災害による地方財政の負担を緩和し、又は被災者に対する特別の助成措置を行うことが特に必要と認められる災害
内閣府HPより引用
のことを言います。激甚災害が発生した場合は、激甚災害法にもとづいて、
地方公共団体の行う災害復旧事業等への国庫補助の嵩上げや中小企業者への保証の特例等、特別の財政助成措置が講じられる
内閣府HPより引用
ことになります。
激甚災害が認められるのは遅い?

激甚災害法と似たような法律に災害救助法や被災者生活再建支援法、特定非常災害特別措置法があります。いずれも性格は違うものの、後者の3つの法律は発災後すぐ、または災害が起きる恐れがある場合に適用されますが、激甚災害法は指定されるまでに1~2カ月かかります。他の法律が被災者の命に関わるものだったり、被災者を直接支援するものだったりするのに対して、激甚災害法は中小企業や地方自治体(市役所など)を財政的に支援する制度あり、被害額がおおむねどの程度であったか計算する必要があるので一定の期間が必要なのです。
東日本豪雨と令和2年7月豪雨 激甚災害に指定された時期の比較
名称 | 発災 | 激甚災害の指定 (政令の施行) |
---|---|---|
東日本豪雨(2019) | 10/12 | 11/1 |
令和2年7月豪雨 | 7/3 | 8/28 |
東日本豪雨と令和2年7月豪雨を比較すると、2019年の東日本豪雨では発災から20日後に激甚災害に指定されたのに対し、令和2年7月豪雨では56日と倍以上の日数がかかっています。
農林水産業の被害額で比較すると、東日本豪雨が1700億円以上(2019/10/27時点)、令和2年7月豪雨が650億円(2020/7/21時点)で、後者のほうが少ないものの、どちらも大きな被害であることは変わりません。
参考:
台風の被害額、農林水産で1700億円超 さらに拡大も(朝日新聞)
「令和2年7月豪雨」農林水産関係被害額は約650億円/7月20日現在(食品産業新聞社)
激甚災害が早く認められたほうがいい理由
激甚災害が早く認められたほうがいい理由は、市区町村が復旧や復興、浸水対策を進めやすくなるからです。
激甚災害に指定されれば、土木工事や農林水産業の復旧の費用について6~8割の国庫補助率が最大で9割程度までかさ上げされます。浸水によって壊れてしまった道路や河川の浸水対策を進めるため、地域の農林水産業を早く復活させるためにも早急な指定が待たれます。また、中小企業への支援や災害の影響で休業した事業所の従業員に対して求職者給付にも使われます。
激甚災害の指定は市区町村の費用負担が軽減されるためだけでなく、街の環境を元に戻して安心して生活するためや労働者の生活を支援するためにも早く認められたほうがよいのです。
災害の時は知事や市長に目を光らせる?

激甚災害が指定されるには、自治体が被害状況を調査して、各省庁が見込額を算定することが必要です。
調査や算定の進み具合を知るのは難しいですが、一つのめやすとして、知事や自治体の長が国に提出する要望書が挙げられます。災害から数日たったとき、どこかしらの自治体から要望書の提出が行われるはずです。要望書の内容には被害状況の調査などは入っていませんが、「激甚災害への早期指定」が盛り込まれているはずです。要望書が早いか遅いかが激甚災害指定に影響しないとは思いますが、自治体のトップと国との間でちゃんとやり取りがされているかどうか見極める一つのめやすになります。政治の動きに目を光らせるのも、被災した地域の住民としてはチェックすべきところです。
まとめ
激甚災害はその特性上、指定には時間がかかりますが、浸水対策や復旧・復興を早めるために重要な制度です。もし、浸水が起こってしまった場合、復旧・復興と激甚災害の制度を結びつけて覚えておいてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。
参考:激甚災害からの復旧・復興対策(内閣府)
コメント