強制?武田前防災相「災害ボランティアを確保」発言がおかしい件

話題

こんにちは。きたはちです。

2019年東日本豪雨のときに災害ボランティアセンターで働いていました。

2020年7月九州豪雨のすぐ後、こんなニュースが流れました。

豪雨被災地復旧へ 感染予防と両立しボランティア確保を 防災相

2020年7月12日 11時19分

一連の豪雨災害への対応について、武田防災担当大臣は、NHKの「日曜討論」で、新型コロナウイルスの感染が続く中、感染予防と災害対策の両立を図りながら、被災地の復旧に向け、ボランティアの確保を進めたいという考えを示しました。

NHKニュースサイトより引用

ボランティアに携わっていれば、この発言の不自然さに気が付くはずです。ボランティアは確保するものではないからです。

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ボランティアは確保するもの?

そもそも「確保」とはこんな意味です。

かく‐ほ【確保】

[名](スル)

1 確実に手に入れること。失わないように、しっかりと保つこと。「人員を確保する」

(以下略)

Weblio,(C)Shogakukan Inc. 株式会社 小学館 より引用抜粋

災害ボランティアは確実に手に入れられるものではありません。あなたがもし災害ボランティアに行くとしたら善意で行きますよね。行くのも行かないのも個人の自由です。行くのか行かないのか保証できないものを確保できませんよね?

ボランティアの定義にも反する

ボランティアには4つ原則あります。

自主性

公共性

無償性

先駆性

これらはボランティアを事業内容の一つに掲げている全国社会福祉協議会をはじめ、各社会福祉協議会で「ボランティア4原則」として浸透しているものです。前防災相の発言はこのうち、ボランティアの「自主性」に反するおそれがあります。

大臣の「確保」という言葉が生む強制的な意味

大臣が「災害ボランティアを確保する」という発言をしたことが原因で具体的に災害ボランティアの強制が生まれる可能性も考えられます。

たとえば、とある学校が大臣の発言をもとに文章を作って「災害ボランティアを1クラス1人募集」などと要請したら強制になるおそれがありますよね?それだけ影響力のある発言だと思います。

中高生への東京オリンピックボランティアの半強制が問題に

少し前になりますが、東京オリンピックのボランティア参加に関して中高生に参加を半ば強制したおそれがあることが問題になりましたね。都立高校には1校あたり5人ずつボランティアを参加させる要請が来たそうです。ちなみに都教育委員会はそのような人数の割り当てはしていないとのことでした。

『ブラックボランティア』(角川新書)の著者で、著述家の本間龍氏はこんなことを言っています。

私が『ブラックボランティア』で指摘したことが実際に起きている。各校に必要人数を“割り当てた”時点で、これはすでにボランティアではなくなり、強制的な“学徒動員”に変質している。

Business Journalより引用 ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2019/11/post_128044_2.html
Copyright © Business Journal All Rights Reserved.

「あなたの学校から5人出してくれますか?」と言われたらそれは強制になりうるということです。これは災害ボランティアにも起こる可能性があると思いませんか?

あなたの災害ボランティアも強制になるかも?

たとえば、あなたの会社で「会社として災害ボランティアに行くことに決めたから、各課から1名ずつ希望者を確保してくれ」と上司から言われた場合も強制にあたる可能性があるということです。

「希望者」という言葉を使っていますが、「1名ずつ」と割り当てることで強制性が生まれるからです。そうして集まった人がみんな自発的に希望しているなら問題ないですが、「誰も行かないから仕方なく参加しよう」と思う人がいればボランティアにはなりません。

災害ボランティアする人とされる人は対等?

災害ボランティアを強制とすることで生まれる問題とはなんでしょうか?

たとえば、仕方なく災害ボランティアに参加して何もお礼を言われなかったらどう思いますか?もちろん、最低限の礼儀は必要かもしれませんが、「せっかくやってあげたのになにもなしか」と思いますよね。仕方なく来ている時点で上下関係が生まれてしまうのです。ボランティアされる人との間の対等な関係を保つために、災害ボランティアは「進んで」「好きで」来ていることが重要なのです。

災害ボランティアが集まらないとき、マンパワーはどうする?

2020年7月の豪雨災害では新型コロナウィルスの感性防止に配慮して、災害ボランティアは県内の募集を主としています。新型コロナウィルスの影響は来年も続くでしょう。その間にまた大きな災害が起こる可能性は十分にあります。

そのような中で災害ボランティアが十分に集まらないときはどうしたらよいでしょうか。

その場合は資金を投じて民間企業への受注や有償のボランティアを検討したほうがいいと思います。ボランティアの自発性が保証されない限り、ボランティアに頼るべきではありません。ボランティアの無償性に甘んじてボランティア頼みになること自体が誤った考え方なのです。

まとめ

災害ボランティアは強制にならないことが重要です。それは、災害ボランティアをする人とされる人が対等になれないからです。新型コロナウィルスの影響が続く中で災害ボランティアを集めることは困難になっています。強制になってしまわないか考えると、ますます消極的になってしまいそうですよね?しかし、思考をポジティブに切り替えて、「どうやったらやりたい人を集められるだろう?」と考えてもらえると幸いです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。

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プロフィール
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きたはち

2019年東日本豪雨のとき災害ボランティアセンターで働いていました。
社会福祉協議会の勤務は4年半。浸水した住宅へ訪問することから運営資金の確保まで行っていました。浸水した住宅に行ってボランティアをしたこともあります。当時の経験をもとに今後起きるであろう災害のためにできることがないかと思いこのサイトを立ち上げました。

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