こんにちは、きたはちです。
2019年東日本豪雨のときに災害ボランティアセンター(災害VC)で働いていました。
この記事では災害VCの組織と各班の役割についてまとめてみました。
災害VCを運営する社会福祉協議会の職員の方はもちろん、災害ボランティアをしようとしている方にも内部の組織が分かればより参加しやすいと思います。ボランティアとして運営に携わることもできるかもしれません。
実際に災害が起こってみないと分からない部分も多いので、そういった部分まで紹介していきます。
災害VCの組織
災害VCとは地域によって違いますが、だいたいつぎのような班に分かれています。
受付班
ニーズ班
マッチング班
送り出し・資材班
統括(総務・広報・会計)
災害VCを運営する社会福祉協議会は、デイサービスやケアプラン作成、老人福祉センターの運営なども行っているので、利用者の保護や施設の管理などのための班を組み込んでいる場合もあります。
各班の役割を説明します。
各班のタイムテーブル
ボランティアの動きとそれに応じた各班のタイムテーブルをまとめました。統括部門はボランティアに影響される部分が少ないので除いています。
オレンジの部分がボランティアの対応を伴う忙しい時間帯です。午前中の受付が終了してから午後3時の活動終了までであれば比較的時間が取れると思います。

受付班
受付
災害ボランティアに集まった人たちの受付をします。
受付に来た人がボランティア活動保険に入っていない場合は、ボランティア保険の加入手続きをします。
名簿に名前、住所、連絡先を、付せんには名前と携帯電話番号を、ガムテープには名前を書いてもらい、ガムテープは腕に貼り付けてもらいます。ガムテープではなく、必要事項を書く枠がある専用の布テープを使用する場合もあります。

活動報告
ボランティアが終わった後、グループのリーダーさんからボランティア活動報告を受け、終了、継続依頼、別件で再依頼に分けて「依頼シート」にまとめます。終わった依頼シートはニーズ班に引き渡します。
依頼シートとは、依頼者の情報や必要な作業の内容などをまとめる書類です。
高速道路無料化措置の受付
ボランティア車両の高速道路無料化の措置が行われている場合は、復路の証明書に日付印を押します。

ニーズ班
ニーズ班は少なくとも本部で対応する人と現地調査をする人に分かれます。
ボランティアニーズの聞き取り
ボランティアを依頼したい人のニーズを聞き取り、新規の依頼シートにまとめます。依頼シートはコピーをとって、原本はファイリングし、コピーに地図をつけて現地調査に備えます。このコピーが各部署を渡っていきます。
ボランティアを依頼したい人は主に電話をかけますので専用の電話回線を決めておきます。電話対応の際は災害ボランティアができること、できないことについて十分理解しておくことが必要です。
訪問してニーズを聞き取ることもします。
現地調査
ボランティアを依頼した方のお宅へ行って、状況を確認して必要な道具や人数などを検討し、依頼シートに記録します。トイレの使用許可が取れなければ、場所も確認しておきます。作業場所の写真も撮っておきます。
現地調査が終わった案件はマッチング班に回します。
優先度の検討
優先度が高いものはつぎの通りです。
高齢者のみの世帯からの依頼
居住スペースを確保するための作業
災害VCから遠い案件
依頼から時間がたってしまっている案件
災害VCから遠い案件が優先度が高くなるのは早く出発しないと作業時間が限られてしまうからです。
データベースの作成・依頼数の把握

依頼者の情報のデータベースを作成します。依頼があった際もデータベースを検索して、新規の依頼なのか、既に依頼したことのある人なのかを判断します。
ボランティアの依頼数、終了数、継続数、再依頼数、キャンセル数を毎日把握し、総務班と共有します。案件が多いと管理が複雑になり、かなり負担のかかる作業です。受付班の活動報告が終わらないと集計ができないのは辛いところです。
マッピング

災害時は、自治体も使っているZENRINの地図システムが使えるようになります。データベースを作っていれば、地図システムにデータを落とし込んで依頼情報を地図に反映させることができます。浸水地域でボランティアを依頼していないお宅を把握し、ニーズの掘り起こしを図ります。
マッチング班

マッチングとはボランティアしてほしい人とボランティアしたい人を引き合わせることです。
朝は集まったボランティアさんたちに、注意事項を説明します。ボランティアさんが気持ちが張り詰めていてもいけないので、緊張をほぐしてもらう話をすることも効果的です。
マッチング
前日に整理した案件の中で、優先度の高いものから順に案内します。
「ここから車で10分、○○町○丁目です。泥出しの作業です。8人くらいなのですが、車で乗り合いで行ける方いますか?」というように募集します。
内容説明
グループでリーダーを決めてもらい、依頼シートにボランティアさんの名前と連絡先を書いた付せんを貼ってもらいます。
リーダーに依頼シートのコピー、地図などを渡し、場所や作業内容、注意事項についてより具体的に説明します。場所の説明は送り出し班が行う場合もあります。
終わったら、グループだけで交通手段などのミーティングを促し、送り出し・資材班へ案内します。
ボランティアとの連絡
ボランティアの活動中は資材の追加など、ボランティア作業中の問い合わせを受け付けます。資材班に送ってもらうので地図を印刷して渡します。
後から来たボランティアを追加で投入する連絡をすることもあります。
専門的な技術を持ったボランティアの対応
床下の泥出し、床板はがし、重機の操縦などの技術を持った人の対応をし、来られる日や用意できる資材、同行するボランティアの人数を確認します。専門的な技術を持った方はその人たちだけで行動することもありますが、人数が必要な場合は、リーダーとなって一般のボランティアに同行してもらうこともあります。
翌日のボランティア数の予測に基づいて派遣する依頼者宅へアポイント
翌日、何人ボランティアが来るかを予測し、ニーズ班から回ってきた案件の依頼者宅にアポイントを入れます。連絡する際は、「もしボランティアが集まったら」という言葉を入れて、確実に来るわけではないことを説明します。
アポイントが取れたら、ボランティアに渡すための地図をコピーして依頼シートにつけておきます。
送り出し・資材班
主に資材の貸し出しや現地への資材の運搬など、屋外での作業が多くなります。体力のいる仕事だと思います。私のいた災害VCでは朝のうちは駐車場の誘導を行っていました。
資材の購入・確保・管理
資材を購入するにあたっては、経理部門を通すよりもある程度資材班だけの判断で行い、迅速さを優先したほうがいいと思います。寄付されたものについては総務部門に報告します。一番必要になるのは土のう袋です。
資材の運搬

軽トラックで一輪車(ネコ車)の運搬や追加で土のう袋などの要請があった場合の運搬を行います。
資材の返却確認、洗浄
ボランティアが終わって帰ってきた資材の数を確認し、洗浄します。洗浄までボランティアにやってもらう場合もあります。
統括(総務・広報・会計)
総務部門
来客対応、寄付の管理などを行います。
ボランティア依頼数、ボランティアの人数などの自治体への報告も行います。
土日出勤になるので、シフトの管理も必要になります。シフト管理は全体に響くため、管理職が迅速に決定したほうがいいと思います。
寄付者やボランティア参加者には礼状を発行できるように個人情報を管理しておきます。
ボランティア活動証明書の発行も行います。
事態が落ち着いてきたらシンポジウムや被災者同士の交流会などのイベントも企画します。
広報部門
ホームページの管理、案内立て看板の作成、チラシの作成などを行います。ホームページについてはベンダーと相談して特設ページを作ったり、専用SNSを立ち上げたりすると情報が案内しやすいです。
会計部門
収入は赤い羽根共同募金からの支援金が一番大きいです。まずは県共同募金への申請を行います。その他の助成金の申請手続きや、寄付金窓口の設置も行います。
支出は支援金が入ってくるまでは仮払金で仕分けし、支払いが滞らないようにします。
支援金や助成金はいつでも決算ができるように管理を徹底します。
まとめ
災害VCの組織とその役割を紹介しました。各班、部門の役割は必ずしもこの通りでなくてもいいと思います。実際、私は会計をしながらマッチングを行ったりニーズ班に行ったりしていました。人員をバランスよく配置して、できるだけ業務が偏らないようにしてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。きたはちでした。
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